歌舞伎 大道具編
歌舞伎 背景画(「京鹿子娘道成寺」背景画の製作工程)
作業工程
① 道具帳をもとに作業工程(描き方や、何に描くか、どんな絵具を使うか)を決める


毎公演、出演する俳優や脚本、演出、前後のラインナップ等々が異なるため、その状況に合わせて、また職人の育成という意味でも、ほとんどの公演で背景画は新調している。舞台の50分の1を描いた舞台の設計図「道具帳」に長年のデザインが蓄積されているため、それを解釈しながら、全体のバランスや色合いなどを調整する。
② 布を地面に設置する

③ 布に下地の絵具を塗る

④ 画面の外枠や目安となる線を取り、チョークであたり(下書き)を入れていく

⑤ 絵具を用意する

⑥ 一斉に色を塗る

大人数で協力して一つの背景画を仕上げるため、大人数が連携してコミュニケーションを取りながら、無駄なく作業は進み、一つの背景画を1~3日で仕上げる
⑦ 塗り込みの上から、仕上げの書き込み、全体の調整を行う


1999年、歌舞伎座舞台株式会社入社。
日本画家、故松尾敏男に師事。日本美術院 院友。「鐘ヶ岬」「傾城道成寺」「流白浪燦星」などの美術を手がける。
友人の紹介で入社。製作に関して作業を分かり易く作業員に紹介してそれぞれの個性や能力をのばすための経験となることをこころがけています。

2012年、歌舞伎座舞台株式会社入社。
実際に道具を舞台に飾ったときにどのように見えるか、あるいはどのように見せたいかを意識しながら製作しています。それに即した方法を考え、実践するのは、困難を伴うこともあるが、反面おもしろみを感じる部分でもあります。また一人で完結する仕事ではないので、関係する人たちとの意志や方向性の共有が重要だと考えています。

2023年、歌舞伎座舞台株式会社入社。
幼少期文楽に親しんだ経験から、歌舞伎座の背景画製作に携わる。歌舞伎特有の描き方を大切にしながら、物語の時代や空気感を絵で伝えることを意識しています。幕が開いた瞬間に観客を物語の世界に引き込めるよう、色や構図、チームとの連携に日々向き合い、やりがいを感じています。