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歌舞伎 衣裳編

歌舞伎 衣裳(「京鹿子娘道成寺」赤綸子雲霞枝垂桜繍振袖着付の制作工程)

作業工程

① 着物生地を染める

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古典を現代に合わせた形で継承

古典作品の衣裳は昔から変わらないデザインで、技術も継承しているので、見本と同じ地紋の綸子を用意している。染料等の材料は現在入手できないものもあるため、違う染料で限りなく近い色合いを出せるよう工夫をしている。

② 草稿:紙に模様の下絵を描き、それを布に写していく

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生地に同じ柄を写す。

見本の着付の柄を反物に写す工程として、紙に反物の幅で見本の柄の草稿を書く。その書いた紙から反物に写す。(紙と生地を重ねて下から光を当てて書く)

③ 刺繍:下絵をもとに刺繍を入れていく

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下準備が重要

正確に刺繍をするため縫台という道具で生地を張って、作業を行うが、この作業が繊細で、張った方が作業はしやすいが、張りすぎると実際に着用した時の刺繍が歪んで見えてしまったりする。その日の湿度などによっても布の状態が変わるため長年の感覚で、最適な加減で布を張り作業を行っている。作業の途中でもゆるんでしまうので、都度調整しながら作業をしている。

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繊細な指の感覚

時には分厚い素材に刺繍を入れる事もあるため、繊細な指の感覚で針を出す位置などを把握しながら作業をしている。指の感覚が大事なため、触っただけで糸の太さや、針などの道具の微妙な違いも分かるほど。

④ 縫製:各パーツの生地を手で縫い合わせ着物の形に仕立てる

和裁は平面構成で真っすぐ縫うことが特徴だが、解いて次世代へ継ぐ衣裳なので
必ず手縫い。模様の柄合わせを寸法と共に確認し、裏地を用意して縫い合わせていく。

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演目、演出、役者によって仕立てを変える。

演目や、早変わりの演出に合わせた仕立てをし、役者により好みの形も違うので、経験を活かして進める。舞台稽古に間に合わせる為に短時間で仕立て上げる技術が必要

【刺繍職人:藤原千子さん】

職人歴50年以上。私が子供の頃にすでに祖父は、刺繍職人として有名だったので祖父、祖母の家に遊びに行くといつも綺麗なお仕事を見ていました。
自然と見様見真似で仕事をするようになり、祖母のところも跡継ぎがなく、頼られるようになり、現在まで頑張っています。現在は娘も手伝ってくれています。
身体の続く限りは仕事をしたいと思っています。

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